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【2011年新車解説】ザウバーC30「質実剛健のコンサバティブな正常進化型」


2011-2-7 0:20

 
 質実剛健を信条とするザウバーは、大幅なレギュレーション変更がマシン作りに大きな影響を与えた2011年にもそのスタンスを変えることなく、ニューマシンC30をデザインしてきた。昨年4月にテクニカルディレクターに就いたジェームス・キーの下で設計される初めてのマシンだが、アグレッシブなアプローチを採ってきた多くのライバルたちに比べると、C30はコンサバティブでやや大人しい印象を受ける。

 コンセプト設計は昨年5月に行なわれ、早い段階でメカニカル面の基礎設計を確定。シンガポールGPでのC29最終アップデートの後、秋以降は限られたリソースをすべてC30の空力面の開発に集中させてきた。その基本コンセプトとは、C29の弱点を補完するというもの。

 キーは次のようにC30のコンセプトを語る。

「C30のデザインコンセプトは、C29の長所を生かしつつ弱点を潰し、もっと安定感が高く運転しやすいクルマにすること。そしてセットアップや開発の柔軟性が高いマシンにすることを目指したんだ」

 つまり、空理効率、低速コーナリング性能、メカニカルグリップ、サスペンション調整幅の向上だ。とりわけ、ナーバスで柔軟性の乏しかった脚回りの改善を図り、ドライビングしやすいマシン特性を目指すということだ。空力効率の向上に関しては、フォースインディア時代にキーが手がけたVJM02で定評を得ており、期待できる。

 サスペンションのセッティング幅を広く設けるのには、ピレリタイヤの特性がまだはっきりと掴めていない時点でメカニカル面の設計をフィニッシュしなければならなかったという事情もある。どんな特性のタイヤがやってきても、ある程度はマシン側のセッティングで対応できるように、ということだ。

 ライバルたちと同様、空力パッケージはまだ暫定仕様となっている。開幕戦までにいくつものアップデートパーツが投入される予定だ。実際、フロントウイングは昨年後半戦の最終仕様がそのまま装着されている。

 フロア下からディフューザーへと流れる気流量を拡大するため、ノーズは従来よりもさらに高い位置へと伸ばされている。ノーズ下の整流フィン、フロア先端のTプレートとキール、バージボード、ポッドフィンを経て、フロア下とサイドポッド脇からリアエンドの上下へと気流がコントロールされている。このあたりの処理手法は昨年型のままだ。

 整流機能も果たしているフロントサスペンションは、ノーズが高くなったぶん高い位置にマウントするのではなく、ややツインキール気味にロワサスペンションをマウント。ここはジオメトリー優先の設計と言えそうだ。なお、ミラーのステーはさらに整流機能を意識した形状へと進化している。これはフロントサスペンションと呼応して上側の気流をサイドポッドへと効率的に気流を導いている。

(続きは『ザウバーC30(Technical File 2011 LAUNCH EDITION)』にて)


 text by Mineoki Yoneya / photographs by Wri2

 

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