モナコは言わずと知れたハイダウンフォースサーキットで、かつてはここ専用のマキシマムダウンフォースの空力パッケージが投入されたものだが、今はすでに通常仕様からしてレギュレーションで許される最大限のダウンフォースを得られる空力パッケージになっているため、モナコ専用という空力デバイスはほとんど存在しない。せいぜい、ドラッグを度外視してでもダウンフォースを獲得したいというリアのミニウイングなどの追加が見られる程度だが、これも他サーキットで使用されることも多い。
だが今季の場合、KERSが復活したことで熱的な苦しさを抱えるマシンが少なくなく、そのため低速で冷却が厳しいモナコでは、マレーシア並みの冷却仕様が採られていたことが特徴だった。
元々排熱がかなり厳しかったメルセデスGPは、ロールフープにエクストラの冷却風インレットを設け、マクラーレンのようにエンジンルーム後方にギアボックスオイルやKERS冷却用の小さなラジエターを設置して冷却する方式を採用してきた。
また、フェラーリはリアカウル後端をレッドブルのように空洞化して排熱効率を高めてきた。ウイリアムズも、売りの超低ギアボックスの効果を否定するかのような排熱口を設けていた。
それ以外の通常アップデートは、前週スペインGPからの連戦とあってほとんどなし。それでもフェラーリはフロントウイングをアップデートするなどマシン改良に余念がない。ハイダウンフォースではあるが高速コーナーがなく空力的な不利が出にくいこのモナコで、彼らは一発逆転を狙っていたが、赤旗中断がなければ勝てたとフェルナンド・アロンソは悔しがった。
そんなモナコGPのテクニカル解説やマシンディテール写真をもっと堪能したい方は、詳細は
『テクニカルファイル速報(2011 Rd.6 モナコ)』をどうぞ! 最新アップデート以外にも、小林可夢偉が4位快走を見せたザウバーC30のディテール徹底解説、DRSのリアウイング比較、全12マシン俯瞰写真など、盛りだくさんです。
(text by Mineoki Yoneya / photographs by Wri2, La Vie Creative)