【Q】シーズン前半にあれだけ調子の良かった小林可夢偉が、後半戦になかなか活躍できなかったのはなぜですか？

【A】やはりブロウンディフューザー開発の遅れが響きましたね。

　ザウバーはスペインGPでFIAが最初に「ブロウンディフューザーは違法」宣言をして以来、排気管の開発を止めることを決めてしまいましたから。実際にはイギリスGP以降はホットブローが許されて、メルセデス・エンジン勢にとって追い風になったうえに、フェラーリもカスタマー向けにシンガポールGPからホットブローのマッピングを提供し始めたことで、トロロッソにも差を付けられました。

　ホットブローがあるとないとでは、予選の一発が全然違ってきます。決勝は燃費を考慮しなければならないので、どのチームもほとんど使えず、その差は相対的に小さくなるのですが、後方グリッドからでは厳しい戦いを強いられるわけです。

　ただ、予選を最初から諦めてタイヤをしっかりとセーブしておけば、逆に中途半端にQ3に進むよりもレース戦略を有利に進めることができます。それによって何度か入賞を果たして来たのがザウバーです。本当なら何度か他にもチャンスはあったはずですが、セーフティカーの入るタイミングやトラブルでチャンスを失う不運も重なったのが、小林センシュの後半戦でした。

（text by Mineoki Yoneya / photo by Sauber）

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