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訴訟対策、交渉能力が必要か

ある人物がホンダF1復帰の障壁に?

2013-3-7 23:56


 ホンダの2015年F1復帰に向けた動きが現実味を帯びていると報じられる中で、気になる点がひとつある。元フェラーリのジル・シモンが開発に関与しているという点だ。最新のF1エンジン技術から遠ざかっていたホンダにとっては、シモンの獲得は新型エンジン開発を加速させる要素だったのだろうが、これが大きな障壁になる可能性がある。

 シモンは2011年7月からクレイグ・ポロック率いるPUREのエンジン開発に携わっていた。ドイツ・ケルンのTMG内にオフィスまで構えてトヨタのF1技術と提携して開発体制を整えていたPUREだが、しかしTMGに技術提携料を支払うことなくそのプロジェクトは立ち消えとなった。

 その障壁になったのが、資金面だけでなく、シモンの存在だと言われている。2009年12月にフェラーリを離脱した後、シモンはFIAに加わってエンジン技術委員を務めており、エンジンのホモロゲーション管理を担当していた。つまり現行の全エンジンメーカーの全エンジンの内部まで詳細に知りうる立場にあったのだ。また、2014年からの新エンジンレギュレーションを制定する側の立場でもあった。

 その知識を利用して新たにエンジンを開発することに対して、PUREが実際に参戦に踏み切った場合にはライバルメーカーたちは技術盗用の疑いで法的措置も辞さない構えだったという。PUREはエンジン開発・参戦を断念した裏側には、そんな背景もあったという。

 仮にホンダがシモンを雇用しそのノウハウで新型エンジンを開発していた、もしくはPUREのプロジェクトを基盤としていた場合、ライバルメーカーからこうした横槍が入る可能性は充分にある。予想外に早い段階での参戦が現実味を帯びるとしたら、途中まで進行していたPUREのプロジェクトが活用された可能性は非常に高いと言えるだろう(絶対にホンダは事実だと認めないだろうが)。

 しかし現状ではライバルメーカーもホンダの参戦を望んでいる状況にあるため、交渉次第では上手くまとめることができるはずだ。まさに第3期活動のホンダに欠けていたF1村の流儀に則ったF1的な交渉手腕が問われるところだ。参戦の準備を進めると同時に、シモンの存在がはらんでいる訴訟対策もしっかりと進めておかなければならない。

(text by Mineoki YONEYA / photo by Wri2)


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