別項記事のようにスーパーソフトとミディアムで対照的な結果になったメルボルンでのピレリタイヤだが、これは
ピレリが意図的に仕組んだものだ。
もしSSを投入しなければ、レースはつまらない1ストップ作戦になってしまうからだとポール・ヘンベリーは語る。
「タイヤの傾向は、レース前のシミュレーションとほぼ一致していた。SSは実質的に
予選用タイヤであり、極端な特性に対して否定的な声があるのも分かる。しかし、SSの投入は1回ストップ作戦の
退屈なレースになるのを防ぐための方策だったんだ」
つまり、MやHがきわめて高い安定性を誇る以上は、もう一方のタイヤが大きくデグラデーションが発生するSSでなければ1回の交換で走り切ってしまうというわけだ。
「
普段とは違うアプローチだ。しかし、それでも良いじゃないか。我々はオーバーテイクもなくて退屈なレースなんて見せたくない」
タレが大きいと非難を受けることを覚悟の上で、それでも面白いレースを演出するために彼らはこの英断を下したということになる。その決定は尊重すべきだろう。
(text and photo by Mineoki YONEYA)