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【AUS金曜分析レポート】

ついに見えたピレリタイヤの本性!

2013-3-15 23:10


 3月15日、開幕戦オーストラリアGPのフリー走行が始まった。FP-1とFP-2の両セッションともにレッドブルが速さを見せ、セバスチャン・フェッテルがトップタイムを記録した。その他、上位には下馬評通りにフェラーリ勢、メルセデスAMG勢、ロータス勢がつけた。その一方で、マシン理解が進んでいないマクラーレンは大きく下位に沈んでいる。

 金曜フリー走行の最大の焦点はタイヤだった。オフのテストで大きなデグラデーションを見せた今季型ピレリタイヤが、果たしてどんな傾向を見せるのか。FP-1で新パーツの確認と基本的なセットアップ作業を終えた各チームは、FP-2でミディアム(M)とスーパーソフト(SS)を履いてロングランを行なった。

 FP-1ではタイヤを保たせるために1〜2周ごとにブレイクを入れながらの走行を続けていたが、FP-2のロングランから見えてきたのは、オフテストとは違ったタイヤ特性だ。



 まず、SSは大方の予想通り、激しいグレイニングが発生し、デグラデーションは凄まじい。マシンによってはアタックラップ1周目のセクター3まで保たない場合もある。1周あたり0.25〜0.3秒のデグラレートでタイムが低下していく。

 一方、Mはデグラデーションがほとんど皆無に近く、燃料が軽くなった分タイムが上がるネガティブデグラになるマシンもある。コンパウンドが摩耗しきる22〜24周は走行が可能だ。燃料が軽くなったレース後半に使うなら、そこからさらに3〜4周ほどの伸びも見込める。

 ただ、両スペックでは初期のラップタイム差が0.7〜1秒はある。そのため、予選ではSSが必須となる。しかし前述の通りデグラレートは0.25〜0.3秒/LAPで、同時に走り始めたとしたら8〜9周目にはMの方がタイムが上回ることになる。

 つまり、予選Q3でSSを使えば、5〜6周目には1回目のピットインを強いられることになるのだ。ただし、Mがこれだけ長く走れるため、戦略としては2ストップが中心。もしくは、最終スティントにSSを履いてプッシュする3回ストップかだ。

 Q3に進んでも上位グリッドの狙えないドライバーは、アタックせずにタイヤを温存するだろう。そこでSSを履けば決勝ではすぐにピットインを余儀なくされ、間違いなく予選11位以下からMでスタートして20周以上を走る中団グループに飲み込まれてしまうからだ。

 真逆の特性を持ったSSとMの組み合わせで戦うオーストラリアGPは、戦略上、予選の時点から難しい展開になりそうだ。

(text by Mineoki YONEYA / photo by Wri2)



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