3月15日、開幕戦オーストラリアGPのフリー走行が始まった。FP-1とFP-2の両セッションともにレッドブルが速さを見せ、
セバスチャン・フェッテルがトップタイムを記録した。その他、上位には下馬評通りに
フェラーリ勢、メルセデスAMG勢、ロータス勢がつけた。その一方で、マシン理解が進んでいない
マクラーレンは大きく下位に沈んでいる。
金曜フリー走行の最大の焦点はタイヤだった。オフのテストで大きなデグラデーションを見せた今季型ピレリタイヤが、果たしてどんな傾向を見せるのか。FP-1で新パーツの確認と基本的なセットアップ作業を終えた各チームは、FP-2でミディアム(M)とスーパーソフト(SS)を履いてロングランを行なった。
FP-1ではタイヤを保たせるために1〜2周ごとにブレイクを入れながらの走行を続けていたが、FP-2のロングランから見えてきたのは、オフテストとは違ったタイヤ特性だ。
まず、
SSは大方の予想通り、激しいグレイニングが発生し、
デグラデーションは凄まじい。マシンによってはアタックラップ1周目のセクター3まで保たない場合もある。
1周あたり0.25〜0.3秒のデグラレートでタイムが低下していく。
一方、
Mはデグラデーションがほとんど皆無に近く、燃料が軽くなった分タイムが上がる
ネガティブデグラになるマシンもある。コンパウンドが摩耗しきる
22〜24周は走行が可能だ。燃料が軽くなったレース後半に使うなら、そこからさらに3〜4周ほどの伸びも見込める。
ただ、両スペックでは初期の
ラップタイム差が0.7〜1秒はある。そのため、予選ではSSが必須となる。しかし前述の通りデグラレートは0.25〜0.3秒/LAPで、同時に走り始めたとしたら
8〜9周目にはMの方がタイムが上回ることになる。
つまり、予選Q3でSSを使えば、
5〜6周目には1回目の
ピットインを強いられることになるのだ。ただし、Mがこれだけ長く走れるため、戦略としては
2ストップが中心。もしくは、最終スティントにSSを履いて
プッシュする3回ストップかだ。
Q3に進んでも上位グリッドの狙えないドライバーは、アタックせずに
タイヤを温存するだろう。そこでSSを履けば決勝ではすぐにピットインを余儀なくされ、間違いなく予選11位以下からMでスタートして20周以上を走る中団グループに飲み込まれてしまうからだ。
真逆の特性を持ったSSとMの組み合わせで戦うオーストラリアGPは、戦略上、予選の時点から難しい展開になりそうだ。
(text by Mineoki YONEYA / photo by Wri2)