金曜分析レポートで述べた通り、中国GP決勝では2ストップ作戦と3ストップ作戦に分かれる可能性が高く、予選の段階からその兆候が見えている。2回ストップが成功するかどうかはまだ疑問符がつく段階だが、Q3に進んだドライバーの中にもそれを想定していると考えられるドライバーがいる。
ジェンソン・バトンはミディアムタイヤでゆっくりと走行して一応のタイムだけ記録し、この新品同様のタイヤで決勝に臨むことを選んだ。ニコ・ヒュルケンベルグはタイムを記録せずに両方の可能性を残しているが、おそらくこちらもミディアムだろう。
セバスチャン・フェッテルもタイムを記録しておらずどちらのタイヤでも自由に選ぶことができるが、最後にミディアムタイヤでタイムを記録しようとしていた点を考えても、9番グリッドとなったことを考えても、ソフトタイヤでスタートすることは考えにくい。
ただし、彼らが全員2回ストップを想定しているかというと、そうではなさそうだ。フェッテルは次のように語っている。
「2ストップが可能だったら驚くよ。確かにミディアムのデグラデーションは良いし、レース週末前に予想していたよりも良かったくらいだ。でも2ストップ作戦を成立させるためにはソフトタイヤで長いスティントを走らなければならない。そこがクリティカルなんだ」
「ただ、僕はトライしようと思えばできる立場にある。Q3で使ったタイヤはセクター2までしか(プッシュして)走っていないし、新品に近い状態にあるからね」
ソフトタイヤでスタートし3回ストップとなるはずのフェルナンド・アロンソは、レースのどのタイミングで「ハズレ」のソフトタイヤを使うかの違いだけだと語る。
「戦略の違いは、レースのどの段階で良いか、どの段階で良くないかを好むかという違いだ。つまり、いつソフトタイヤを使うかというだけの違いさ」
ただし、燃料の重いレース序盤にソフトを履けば、それだけグレイニングとデグラデーションの進行度合いは大きくなる。
いずれにしても、予選で純粋な速さで上位につくことができないからこそ、正攻法ではないミディアムタイヤでのスタートに活路を見出さざるを得ないというのが本音のようだ。ジェンソン・バトンはこう語る。
「予選での僕らのペースを考えると、これが最良の戦略だったんだ」
いずれにしても、ソフトタイヤでスタートする上位7台は5〜8周程度でピットインを向かえることになる。その時点でバトンやフェッテルがどこにいるかでレースはかなりエキサイティングな展開になるだろう。
(text by Mineoki YONEYA / photo by Wri2)