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キミ・ライコネン、最終2戦欠場決定

アブダビGPで見えていたその予兆

2013-11-11 13:46


 彼は“アイスマン”と呼ばれている。彼のクールな振る舞いがそうさせているのだが、だからといって彼が感情を持ち合わせていないというわけではない。

 むしろ彼は、パドックの誰よりも自分の感情・本能に忠実に行動する男だ。

 速く走りたいから走る。シャンパンを飲みたいから、表彰台でもまずボトルに口を付ける。喋りたくないから喋らない。アイスを食べたいから食べる。帰りたいから帰る。

 実にシンプルだ。彼は思ったことを本能のままに行動する。世間の常識とか他人の目なんてものは気にしない。それが“アイスマン”の本当の姿だ。



 前戦アブダビGPに遅れてやって来たキミ・ライコネンの表情を見て、もう完全に“切れている”と感じた。それは怒りではなく、チームに対する信頼と忠誠を失った諦めの表情だった。

 この週末初の顔合わせとなった金曜のカコミでは、大幅に遅れてやって来た上に、「あ、エンジニアリングミーティングがあるから」と話も途中に半ば強引にさっさと立ち去った。インドGPの問題についての質問が集中するなど、難しい状況だった。

 本能に忠実な男が、こんな状態できちんと走れるのだろうか? 彼の表情を見た瞬間にそう感じた。予選はきちんと5番手を獲ってみせたが、チームメイトのマシンにトラブルがなければ今回もその後塵を拝していたはずだった。そして、車両規定違反により最後尾から臨んだ決勝では、完全に彼の気持ちは“切れて”いた。

 来季のフェラーリ移籍を前に残り2戦に向けてニコ・ヒュルケンベルグとのトレードの話も出ていたが、支払問題の残るロータスでは「もう走りたくない」というのが彼の本心だったのだろう。シンガポールで再発した背中痛の手術が本当かどうかは分からないが、彼はその本心のままに行動しただけのことだ。

(text by Mineoki YONEYA / photo by Wri2)


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