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【新車解説】マクラーレンMP4-28

創設50周年、フロントエンド一新の野心作

2013-1-31 23:30

ハイノーズにプルロッド採用
フロントを完全刷新した大冒険


 マクラーレンは1月31日、ウォーキングの自社ファクトリーであるマクラーレンテクノロジーセンターで2013年型新車MP4-28を発表した。ブルース・マクラーレンによるチーム創設から50周年を迎えるシーズンだけに、彼らは本気だ。

 テクニカルレギュレーションに変更がないだけに、マシンの外観にはほとんど変化がない。事実、チームは「昨年型マシンをさらに開発し、さらにパフォーマンスを見つけ出した」ものだとしている(マーティン・ウィトマーシュ代表)。ごく一部のレースを除き、2012年のシーズン全体を通して最速だったのはマクラーレンだった。そのMP4-27を進化させることで、2013年を戦おうというわけだ。

 だからといってコンサバティブな手法を採ったわけではない。ジョナサン・ニールいわく「野心的な方法を選んだ」という。

 その代表格が、フロントサスペンションに見て取れる。昨年フェラーリが採用したプルロッド方式を導入してきたのだ。プルロッドのアームはほぼ水平にモノコック内へと入り、それ以外の上下ウィッシュボーンには極めて鋭角なハの字型のジオメトリー。昨年のフェラーリがデータ収集に苦しんだようにメカニカル的には不利も少なくないが、そのリスクを負ってでも空力的メリットを得たいという"野心的な"方法だ。

 コスメティックパネルによってノーズの段差は存在しないが、昨年型とは異なりモノコックは高く持ち上げられ、ノーズ先端も高く持ち上げられている。昨シーズン中盤からノーズ先端を高く改良してきたことからも、モノコック下に大きな空間を作るこちらの方が高い空力効果が得られるとの結論を導き出しているのだろう。ノーズも幅広くしてステー間に広いトンネルを作り、マシン下に大きな空気の通り道を確保することでダウンフォースを獲得しようという狙いが見える。ここに、アームを細くコンパクトにできるプルロッド採用の空力的メリットがある。

 サイドポッドも意欲的に攻めてきている。コクピット脇に側面衝突テスト用のインパクトストラクチャーがせり出ていることからも、コンパクトに絞り込んでいることが分かる。シンプルな形状のポッドフィンは発表会仕様のダミーだと思われるが、ミラーの設置方法は独創的で整流効果も狙っていることが窺える。昨年導入していた垂直整流フィンが装着されていないことから、テストではこの周辺に新たなアイテムが付け加えられる可能性もあるだろう。

 サイドポッド後方は昨年同様のコアンダ型排気管と、その周辺のマット黒色の耐熱処理が目立つ。上から俯瞰で見れば、MP4-28のコークボトル部は絞り込みの少ないラウンド形状のように見えるが、実際にはサイドポッド下は内側に絞り込まれており、リアエンドに向かって気流を導き流し込むためのトンネルが形成されている。

 リアサスペンションはアッパーアームを昨年のザウバーのように平型と丸形断面を組み合わせたアームとしている。さらにアップライト付近では水平に折り曲げ、極めて独特な形状としている。サイドポッド上下から流れてくる気流が高温のエンジン排気とともに流れ込むこのエリアの気流制御を考慮しての処理だろう。

 前後ウイングは昨年型を装着し、ディフューザー周辺もほとんど伺い知ることはできない。同じ設計コンセプトのもとで開発されているためマシン全体の印象は前年型と大きくは変わらない。しかしフロントもリアも、昨年の弱点をしっかりと潰すための冒険をしている。ハイノーズと斬新なフロントサスペンションを採った冒険が成功するか否か、それは開幕前のテストをいかに過ごすかが重要になるはずだ。

(text by Mineoki YONEYA / photo by McLaren, Wri2)


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【MP4-28 SPECIFICATIONS】
Chassis
Monocoque
McLaren-moulded carbonfibre composite incorporating front and side impact structures, and survival cell

Front suspension
Inboard torsion bar/damper system operated by pullrod and bell crank with a double wishbone arrangement

Rear suspension
Inboard torsion bar/damper system operated by pullrod and bell crank with a double wishbone arrangement

Electronics
McLaren Electronic Systems. Including chassis control, engine control, data acquisition, dashboard, alternator, sensors, data analysis and telemetry.

Bodywork
Carbon-fibre composite. Including engine cover, sidepods, floor, nose, front wing and rear wing.
Driver-operated drag reduction system

Lubricants & Fluids
Mobilith SHC™ 1500 Grease ? lubricates the four tripod joints on the drive-shafts resisting the high temperatures generated by the exhaust and braking systems
Mobilith SHC™ 220 Grease ? minimises rolling resistance in the car’s ceramic wheel bearings to help maximise speed
Mobil SHC™ Hydraulic Oil ? running at over 200 bar and 100° C this fluid is an essential part of the hydraulic system which controls gear shift, the throttles and operation of DRS and steering systems

Tyres: Pirelli P Zero
Radio: Kenwood
Race wheels: Enkei
Brake calipers: Akebono
Master cylinders: Akebono
Batteries: GS Yuasa Corporation
Steering: McLaren power-assisted
Instruments: McLaren Electronic Systems
Paint solutions: AkzoNobel Car Refinishes using Sikkens products

Engine
Type: Mercedes-Benz FO 108F
Capacity: 2.4 litres
Cylinders: 8
Maximum rpm: 18,000
Bank angle: 90°
Piston bore maximum98mm
Number of valves: 32
Fuel: ExxonMobil High Performance Unleaded (5.75% bio fuel)
Spark plugs: NGK Formula 1 specification racing spark plugs
Lubricants: Mobil 1™ Engine Oil ? for long engine life, protection and cooling combined with improved fuel economy
Weight: 95kg (minimum FIA regulation weight)

KERS Hybrid
Type: Mercedes-Benz
e-Motor: Engine-mounted electrical motor/generator
ESS: Integrated energy storage cells and power electronics
Power: 60 kW

Transmission
Gearbox: McLaren-moulded carbon-fibre composite
Integral rear impact structure
Gears: Seven forward and one reverse
Gear selection: McLaren seamless shift, hand-operated
Clutch: Carbon/carbon, hand-operated
Lubricants: Mobil 1 SHC™ Gear Oil ? provides reduced fluid traction losses improving gearbox efficiency and delivering more power to the rear wheels

 

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