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【新車解説】FインディアVJM06

外観は地味でも、大刷新した脚回り

2013-2-1 23:36


 
目に見える変化の乏しい地味マシン
しかしその真価は脚回りとタイヤにあり


 フォースインディアがシルバーストンで発表した2013年型マシンVJM06は、前年型との違いを見つけるのが難しいほど変化に乏しいマシンだった。

 ノーズには当然のごとくコスメティックパネルが装着され、ステップは姿を消した。だがそれ以外に前年型との違いはあるのか? 資金難が噂されるフォースインディアだけに、マシンの大部分を流用したのではないかとの疑いも呼ぶが、実際にはモノコックから完全に新設計されたマシンだ。チームではモノコック流用も検討されたらしいが、結局性能面でのメリットをとって設計一新を選んだという。

 フロントウイングは昨年型を装着し、ノーズは昨年いくつかのレースでトライした下面がスラントした形状のものを採用。ノーズ脇には整流フィンを追加しているものの、全体のコンセプトは変わっていない。

 サイドポッド周辺もほとんど変化は見られず、ポッドフィンが2枚に分かれた以外は昨年型同様。排気管自体も昨年とほぼ同じに見える。ただし、排気管周辺に向けたリアデッキは落とし込みが強くなり全体的に低く抑えられている。ロールフープのエアインテークも、下側にサブインテークを設けるなどの手が加えられている。この辺りは、コアンダ型排気管を前提に設計しなおしたことでカウル内部のメカニカル配置が最適化された効果だろう。

 リアウイングは翼端板のルーバー形状が変わり、ロワ中央の湾曲がウイングレットと相まってダウンフォース量を補っている。だがウイング本体は昨年と同様だ。

 では、このVJM06開発のキーポイントは何かというと、それは前後サスペンションだ。昨シーズンの終盤、フォースインディアは開発の手を完全に止めた。それはリソースの集中だけが目的ではなく、マシンの側を同一条件のままにして走ることで、タイヤの扱いを徹底的に学ぼうという理由からでもあった。そこで得られたデータとノウハウを、VJM06開発に投入したのだ。

 その投入された先というのが、前後サスペンションだ。フロントは真正面から見ればハの字形状がきつくなっているのが分かる。つまりモノコックの下が持ち上がっているのであり、そのことによる空力的メリットは大きい。

 そしてリアサスペンションはさらに大きく見直されている。フロア付近の気流をスムーズにリアエンドへ引き抜くためにサスアームを上昇させているほか、ドライブシャフトをフェアリング内に収納するトレンドの手法を採用するなど、前年型に比べて空力的効果を極限まで高めたのがVJM06の前後サスペンションだ。その背景には、タイヤを予選1発と決勝ロングランの両方で使いこなすための知識が生かされ、タイヤに厳しいサスペンションにならないよう配慮されている。

 決して派手なクルマではない。しかしVJM06の進化は脚回りにある。目には見えずとも、しっかりとパフォーマンスを向上させる手立ては取られている。昨年後半を実験的に使った彼らは今季、散々苦しんできたタイヤとの付き合い方を一変させるかもしれない。

(text by Mineoki YONEYA / photo by Force India, Wri2)

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【FORCE INDIA VJM06 SPECIFICATIONS】
Chassis Carbon fibre composite monocoque with Zylon legality side anti-intrusion panels.
Front suspension Aluminium uprights with carbon fibre composite wishbones, trackrod and pushrod. Inboard chassis mounted torsion springs, dampers and anti-roll bar assembly.
Rear suspension Aluminium uprights with carbon fibre composite wishbones, trackrod and pullrod. Inboard gearbox mounted torsion springs, dampers and anti-roll bar assembly.
Overall width 1800mm
Overall height 950mm
Overall length 5100mm
Overall weight 642kg (with driver, by regulations)
Wheels BBS forged wheels to Sahara Force India specification
Engine supplier Mercedes AMG High Performance Powertrains V8 2.4litre
KERS Mercedes AMG High Performance Powertrains
Transmission McLaren Racing 7-speed, semi-automatic, ‘e-shift’
Lubricants Mobil 1 products
Spark plugs NGK
Clutch AP Racing carbon clutch
Tyres Pirelli
Brake system AP Racing
Brake materia Brembo
Dampers Penske

 

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