当初は財政難からロータスやザウバーとの合併を模索していたケータハムとマルシアだが、ザウバーも2014年ラインナップを確定させたことから、彼らの交渉はひとまず物別れに終わったことが明らかになった。
グティエレスのザウバー残留が決まったようだとの噂は今週冒頭には聞こえて来ており、この時点ですでにそれぞれが独自の道を進むことは決まっていたようだ。
これでマルシアの1席とケータハムの2席だけが残ることとなった。ケータハムはレッドブルに次ぐルノーの準ワークスとして活動してきており、昨季終盤から元ルノースポールのシリル・アビテブールがチーム代表に就任し、ルノーワークス移行に向けた準備を進めているとみられていたが、ルノー・ニッサン・アライアンス本体の経営状況が思わしくなく、それどころではなくなってきているようだ。
シーズン終盤にはルノーへの売却の可能性を模索していたロータスも、その選択肢を諦めてパストール・マルドナドとの契約とベネズエラ資金によるチーム立て直しを選んでいる。
ルノーのバックアップで安泰とみられていたシャルル・ピックのシートも怪しくなり、今季後半に入ってからはマネージャーのオリビエ・パニスがあちこちのチームに出入りし話し合いをする姿が目撃されていた。
現在、残る3席を複数のドライバーが争っている状況だ。マルシアは状況から見て数十億円規模の持ち込み資金を持っているドライバーを必要としている。となれば、マックス・チルトンがエーオンの支援を失ったのが事実だとしたらギド・ファン・デル・ガルデくらいのものだろう。もしくは、今季FP-1に出走したベネズエラのロドルフォ・ゴンザレスなど資金力のある若手起用もあり得る。
ケータハムも同様にそれなりの持ち込み資金を必要としているが、2014年は大きく技術規定が変わるだけに、1人はしっかりとした経験のあるドライバーを確保したいところだろう。
小林可夢偉の名前もここに取り沙汰されているが、これについてはドライバー決定後に述べることにした方が良いだろう。
マルシアは技術力の面で他チームと比べてかなり落ちるが、ケータハムはそれなりの技術力を持っている。技術規定が大きく変わる来季は、マシンの出来いかんによっては大きく飛躍する可能性もないわけではない。
いずれにしても、チーム側がドライバーの経験値と持ち込み資金を天秤にかけて決めることになる売り手市場だが、莫大な資金力を持った買い手がいない状況でもあり、完全にチーム側に有利な売り手市場というわけでもない。この辺りはどこに妥協点を見出すか、チームの裁量次第で決まってきそうだ。
(text by Mineoki YONEYA / photo by Caterham)