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【2014年ニューマシン解説】

ウイリアムズFW36、空力は昨年型を踏襲?

2014-1-23 19:48


 1月23日、ウイリアムズは新車FW36のCG画像を発表した。

 チームは昨年、パット・シモンズをマルシアから獲得してマイク・コフランに代えてチーフテクニカルオフィサーに据え、その元で技術体制の強化を図ってきた。失敗作となった昨年型の反省を踏まえ、新車FW36の設計作業は進められた。

 9月中旬にはFW36の基本設計を固め、本CGの発表会仕様空力パッケージは12月第1週目に設計を完了している。





 マシンのディテールを見て行くと、2014年規定に沿って低く細くなったノーズが奇異なほどに目立つが、それ以外はおおむね昨年型FW35との違いは目立たない。空力コンセプト自体は大きく変えていないことがうかがえる。今回発表されたCG画像と昨年型の写真を見比べると、ほぼ同じフォルムをしている。

 フロントウイングは新規定に合わせて左右幅が狭くなっているものの、基本設計は昨年最終仕様のフラップと翼端板を踏襲している。ここは開幕戦までに持ち込まれるアップデートパッケージでは大きく変わってくる可能性が高い。リアウイングも昨年型のままだ。

 前後サスペンションともにジオメトリーに変化はなく、アップライトも同様。CGではリア内側の空力付加物がシンプルになっているが、ここは今最も旬な開発エリアのひとつであり、おそらくダミーだろう。

 サイドポッド開口部の面積が拡大したのと同時に、コクピット周辺にはルーバー式の小さなエアアウトレットが計4箇所設けられ、新型パワーユニットによる冷却容量の拡大が感じられる。

 パワーユニットを収納するリアカウル中央部は昨年型よりもややふくよかになっている。サイドポッドは排気管の消滅で後半部分が不要になり、内側へとコンパクトにまとめられている。

 排気管は規定通りにリアエンドの中央部に配置し、その後方のギアボックス上にはミニウイングが確認できる。リアのロワウイングは今年から禁止となるが、車体中央部はこの規定の適用外となるため、最大限のダウンフォース確保は図っているのだ。

 2014年規定に沿って8速となったギアボックスは、ケーシングも新設計となってウイリアムズの特徴であった超低ケーシングは姿を消した。

 パワーユニットはメルセデスAMGハイパフォーマンス・パワートレインズ製のPU106A。正式な契約締結前であったにもかかわらず、5月下旬にはCADデータを受け取って開発を進めてきたという。ギアボックスはウイリアムズのファクトリーだけでなく、メルセデスAMGハイパフォーマンス・パワートレインズのテストリグでも充分なテストが繰り返され、新型パワーユニットの強大なトルクに耐えることが確認されているという。

 8月のチーム加入以降にマシン開発の指揮を執ったシモンズは「空力的には昨年よりも上位との差を縮めることができると自信を持っている。我々の目標は、2014年シーズンを力強く戦うことだ」と述べており、昨年型マシンで抱えてしまったリアエンドの不安定さという空力的な問題は解決できたと自信を持っているようだ。

 今回発表されたCG画像はあくまでダミーのパッケージであると推測され、ヘレス合同テストは異なる空力パーツが使用される可能性も高い。開幕戦用の空力パッケージは1月上旬にすでに設計を終えてCFD・風洞実験のプロセスに入っているといい、さらなる進化を見せる。

FW36(2014年)


FW35(2013年)



FW36(2014年)


FW35(2013年)



FW36(2014年)


FW35(2013年)


(text by Mineoki YONEYA / photo by Williams)


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