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【新車解説】レッドブルRB9

最強コンセプトの最終ジェネレーション

2013-2-4 4:39

2009年以来の正常進化最終形
サイドからリアエンドへ徹底的に磨き抜く


 おそらくF1ファンたちの注目を最も多く集めているであろう王者レッドブルのニューマシンが、2月3日にミルトンキーンズで発表された。今季からタイトルスポンサーとして加わったインフィニティの意匠が加えられ、紫色が混じった幻想的なカラースキームとなった。

 マシンはやはり前年型RB8と見た目の印象がほとんど変わらない正常進化型だ。エイドリアン・ニューウェイに言わせれば、大きな成功を収めた2009年に登場したRB5からのマシンコンセプトを踏襲する最後のジェネレーションとなる。

「RB9は正常進化型だ。「レギュレーションがほとんど変わっていないため、RB9の開発はRB8をどうリファインするかというのが中心だった。どこがどう変わったという象徴的なものがあるわけではなく、全てはディテールの進化だ。細かな改良の積み重ねによってマシンを進化させたんだ」

 ノーズはフェラーリやマクラーレンのようにコスメティックパネルを装着せずに昨年同様のステップを残している。昨年型に採用していたレターボックス型のエアインテークが消滅しているが、実はここにコスメティックパネルを装備しており、おそらくはパネルの有無によってインテークの開閉を選ぶことができるようにしているようだ。ニューウェイは当然のように性能優先で「無意味な重量増を招くことになる」と大柄なパネル設置を見送っている。

 フロントウイングは2012年の最終盤型をそのまま装着。もちろん剛性テスト強化に合わせて内部構造には手が加えられてはいるが、フロントサスペンションやバージボード、ポッドフィンに至るまで変化はほとんどなく、マシン前半部はRB8の基本仕様をそのまま踏襲している。

 RB9最大のポイントと言えるのが、サイドポッドだ。まず前方のインダクションポッド開口面積が小型化され、これによって空力的に大きなアドバンテージを得ていることが明らかだ。ポッド上面の前端には昨年同様に整流フェンスがついているが、インダクションポッドは外側フェンスよりも内側までしか広がっていないほどだ。ポッドフィン上端のステーの長さを見ても、サイドポッドが内側に小さくなったことが分かる。

 さらに驚くべきは、サイドポッドの後方だ。極めてコンパクトに落とし込まれていて、カウル後方のRENAULTロゴの下には何も存在しないほどに真っ直ぐフロアまで下がっているほどだ。リアサスペンションのアッパーアームやプルロッドが収まる位置を見れば、リアエンドのコンパクトさが際だって見える。コークボトル部に内側へのトンネルを持った排気管エリアのコンセプト自体は昨年と同様だが、サイドポッドとカウルの絞り込みによって空力を徹底的にリファインしてきているのが分かる。

 リアウイングのコンセプトそのものに変化は見られないが、翼端板下にはすだれフィンが追加されている。発表会では伺い知ることのできなかったディフューザー周りに新しいアイディアが隠されていたとしても不思議ではない。また、ダブルDRSは搭載していないが、開発の可能性を捨て去ったわけではないという。

 ニューウェイは2013年開発の鍵はタイヤにあるとしている。新しいタイヤの特性を理解し、マシン開発に反映させること。ヘレスには速くも2〜3の新パーツを投入するというが、実際にテスト行なってタイヤへの理解を進め、マシンにどのような開発を施していくのか。ニューウェイイズムのRB9への投入はまだまだこれからだ。

(text by Mineoki YONEYA / photo by Red Bull)

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