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【新車解説】マルシアMR02

KERS搭載で打倒ケータハムを目指す

2013-2-10 22:31

風洞開発の威力とKERSパワー
シモンズ体制下で立て直しを図る


 ヘレス合同テスト初日の2月5日に発表されたマルシアのMR02もまた、ケータハムと同じように移行のシーズン2013年を乗り切るために最小限の開発だけで完成させられたマシンだ。チームは2012年型MR01のコンセプトをそのまま進化させたものだとしている。今季型で唯一、コスメティックパネルを必要としないローノーズのモノコックであり、モノコックを昨年型から流用している可能性も高い。

 しかし設立当初からCFDのみでの空力開発をしてきたチームは昨年序盤にその責任者であったニック・ワースを解雇して風洞の使用も開始。風洞を使用してイチから開発した初めてのマシンがMR02となった。風洞やCFDは技術提携を結んだマクラーレン・アプライド・テクノロジーの施設を使用している。風洞による空力開発はすでに昨シーズン後半からその結果が出始めており、昨年後半の成績向上の理由がそこにあった。その土台があったからこそ、MR02は最小限の開発でかたちになったと言えるだろう。

 MR02の最大のポイントはKERSの搭載。昨年ケータハムとの争いで惜しくも最終戦でランキング10位を逃したが、その戦闘力差は主にKERSの有無にあると結論づけ、ウイリアムズから供給を受けて搭載することとなった。そのためにモノコック周りのメカニカル面を再設計している。

 KERSを搭載したにもかかわらず、全体としては重量低減を果たしていることも注目すべき点。マシン各所において重量削減を進め、30kg以上の成果を上げたことになる。

 エンジンは唯一の搭載となったコスワースのCA2013Kで、信頼性、パワー、ドライバビリティ、燃費性能の向上が図られているとはいえ、他のワークスエンジンに比べて性能面で劣ることは否めない。ギアボックスはXトラック社製で、昨年よりもケーシングの剛性向上によってリアサスペンションの性能向上を狙っている。

 具体的にマシン各部を見て行くと、ノーズは昨年同様に底面がスラント形状となったもので、印象は変わらない。前後ウイングも同様だ。さらには前後サスペンションなどメカニカル面の大半もMR01からキャリーオーバーされている。前記の通り、MR02開発の大半はKERS搭載のための作業であり、現在風洞で開発が進められいてる最新の空力パーツは最後のバルセロナテストに持ち込まれる予定となっている。

 空力面で新しくなっているのは、リアエンド。昨年途中からザウバー型のコアンダ型排気管を投入していたが、MR02では設計を一新して一般的なコアンダ排気管を導入してきた。そしてカウルの絞り込みによってリアエンドのエアフローを向上させている。リアサスは旧態依然としてはいるが、ディフューザー周りはトレンドに沿ったものとなっている。

 その他、バージボードを拡大し、サイドポッド内の冷却系の空気抵抗削減による空力効率向上を狙うなど、細かな開発も行なわれている。

 元ルノーのパット・シモンズがテクニカルディレクターとして加わり、チームの技術体制の向上を推し進めてはいるが、1月下旬になってティモ・グロックとの契約を解除したことからも分かるように、資金面での不安がないわけではない。2013年は翌年の大改革に向けてリソースを集中させる方が効率的であると考えられ、マルシアにとっては苦しい1年になるだろう。しかしその中にも光明が見えているのが今のマルシアだ。

(text by Mineoki YONEYA / photo by Marussia, Wri2)

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【MARUSSIA MR02 SPECIFICATIONS】
Official car name MR02
Engine Cosworth CA2013
Chassis material Carbon
Bodywork material Carbon
Front suspension Carbon fibre with carbon flexure joints
Rear suspension Carbon fibre
Dampers Penske
Steering Marussia F1 Team designed hydraulic PAS
Gearbox Aluminium construction with 7-speed Xtrac longitudinally mounted internals
Clutch AP Racing
Discs Hitco Carbon - Carbon
Callipers AP Racing
Pads Hitco Carbon - Carbon
Cooling system Marussia F1 Team
Cockpit instrumentation MES SECU
Seat belts Willans six point harness
Steering wheel Marussia F1 Team design with MES electronics
Driver seat Anatomically formed carbon composite
Extinguisher system FEV FIA approved system
Wheels BBS
Fuel cell ATL
Battery Braille
Fuel BP Castrol
Lubricants BP Castrol
Front Track 1800mm
Rear Track 1800mm
Wheelbase 3400mm

 

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