ページの先頭です。本文を読み飛ばして、このサイトのメニューなどを読む

 

疑惑と追及に揺れた、フェラーリの完全勝利


2010-7-27 9:56
 騒然とした雰囲気の中で始まったドイツGP決勝後のトップ3記者会見は、紛糾した。フェラーリの二人とチームの行為を糾弾し一歩も引かない記者たちと、眉間をしかめ厳しい表情のまま反論するフェルナンド・アロンソとフェリペ・マッサたちとのやりとりは、まるで公聴会や国会の証人喚問を見るかのようだった。

――現実問題として、あなたはコース上で彼を抜くことができなかった。だからチームにそれを依頼しなければならなかったのではないですか、フェルナンド?

「それはあなたの意見でしょう?」

――私はあなたの意見を聞いているんです。あなたはそうは思わないのですか?

「No.」

――フェリペはあなたにこの勝利を譲らなければならなかった。違いますか?

「No.」

 椅子の背もたれに身体を預け、上半身を起こして口をマイクに近付けて「No.」とだけ答えるアロンソ。当人たちも嫌気がさし、隣に座っていたセバスチャン・フェッテルが「僕はもう帰って良いかな?」と苦笑するほどだった。


 事件が起きたのはレースが終盤に入ろうかという49周目だった。

 スタートで首位に立ち、スーパーソフトからハードタイヤに換えてからも好ペースを維持し首位をひた走っていたマッサが、そのまま今季初優勝を飾るのかと思われた。

 だがマッサのエンジニア、ロブ・スメドリーが無線でマッサに伝えた。

「聞いてくれフェリペ。フェルナンドの方が、君よりも、速い。このメッセージの意味をしっかりと理解してくれ」

 一語一語、ゆっくりと区切って明瞭に。2002年オーストリアで当時の代表ジャン・トッドがルーベンス・バリチェロに語りかけた「チャンピオンシップのため、マイケルにパスさせてくれ」という言葉の響きと似ていた。チームオーダーを禁止する規定ができるきっかけとなった、あの事件だ。

 イタリアメディアの中では、その瞬間からそのメッセージがチームオーダーを意味する符牒だと騒ぎ立てられた。そしてマッサは、ターン6の立ち上がりでスロットルを緩めてアロンソを先行させた。自らのペースが遅くて抜かれるのではなく、あくまで「譲ってやった」、もしくは「譲らされた」のだと言わんばかりの行動だった。

 スメドリーからは「OK、良い子だ。そのまま行ってくれ……すまない」という声がかけられた……(つづく

(text by Mineoki Yoneya / photographs by Wri2)


続きはこちらの記事 を購入してお楽しみください。


【特別寄稿】『疑惑と追及に揺れた、フェラーリの完全優勝』

●ホッケンハイムを揺るがした、チームオーダー騒動のすべて

●『フェルナンドの方が、君よりも、速い』

●レッドブルのような失態は、避けたかった。

●チームオーダーは本当に悪か?

この記事の詳細はこちら


商品の詳細
著者:米家 峰起
レース:2010年第11戦ドイツGP
ページ数:17
ファイルサイズ:12.0MB
商品番号:ITEM2010-0148
価格:150円(税込)


 商品はPDFファイルです。当サイト上で購入しダウンロードして保存すれば、どのコンピュータでもiPhoneでもiPadでも、PDF対応機種なら携帯電話でも閲覧することができます。閲覧期限はなし。一度購入し保存したデータは、半永久的にどの端末でも楽しむことができます。

 サイト内の「GUIDE(ご利用案内)」もご参照の上、ぜひご利用ください。

ページの終端です。ページの先頭に戻る