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2010年第12戦ハンガリーGP、『ドナウが湛える、美しさと儚さと』


2010-8-3 2:04
「いかに寝ないで我慢するかという意味で、面白いレースになるだろうね」

 予選の後、マーク・ウェバーはハンガロリンクを皮肉ってそう笑った。ブダペスト郊外に広がる草原に作られたこの曲がりくねったサーキットに、オーバーテイクのチャンスが少ないことは、周知の事実だ。

 しかしハンガリーGPの決勝は、彼の予想とは異なるものになった。そして自分がその主役になろうとは、彼自身も知るよしもなかったはずだ。


 ドナウ川を挟むブダペストは、長い歴史の波に翻弄されてきた街。風景を彩る建築物の様式に、様々な文化の爪痕を感じ取ることができる。流麗な美しさの陰に、どこか切なさを湛(たた)えている。そう、ドイツの黒い森シュバルツバルトから東欧の国々を経て黒海へと注ぐ、ドナウの流れと同じように。

 時代が変われども、支配者が変われども、ドナウは変わらず流れ続ける。


 ハンガロリンクの支配者は、レッドブルだった。

 1周1秒ものアドバンテージに、ライバルたちは半ば呆れ、笑うしかなかった。RB6の持つ圧倒的なダウンフォースが、コーナーの連続を誰よりも速く駆け抜けさせた。

 事実、スタートから首位を独走したのは、セバスチャン・フェッテルだった。予選でウェバーが認めた通り、間違いなくハンガロリンクでは彼が最速の男だった。ブダペストの歴史とは違い、フェッテルの時代はそう簡単に終わりそうにはなかった。

 やはり眠気との戦いになるのかという空気が漂い始めた頃、15周を終えたところでコース上に落ちた破片処理のためセーフティカーが導入されたことで、レースは動き出す。

 各車が一斉にピットへ向かい、チーム内同時ピットインのロスを避けたウェバーだけがコースに留まって首位に立った。彼に課せられたのは、いずれ向かうピットストップに必要な時間を稼ぎ出すことだった。この時ピットレーンでは混雑の中でクラッシュ、タイヤの飛散など、まさに目の覚めるようなアクシデントが続発した。(続く)

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(text by Mineoki Yoneya / photographs by ZEROBORDER)


『F1SCENE DIGITAL』vol.12(2010 Rd.12 ハンガリー)

●1周1秒、圧倒的な速さを見せたレッドブルのほころび

●ウェバーが今季4勝目、チャンピオンシップをリード

●セーフティカー中の大混雑と、シューマッハの「危険走行」

●23番グリッドから9位入賞! またしても魅せた可夢偉の走り

●レースドキュメント『ドナウが湛える、美しさと儚さと』

●小林可夢偉・連載『ブダペストは、曇り空から快晴の空へ』


『F1SCENE DIGITAL』は、F1ドキュメンタリー写真集『F1SCENE』が贈る、レースごとの写真集です。vol.12は、美しく情緒溢れる東欧の国、ハンガリーGP。レッドブルが圧倒的な速さを誇りながら、またしても勝てないフェッテル。衝撃的だったシューマッハとバリチェロのバトルなどを描きます。 叙情詩的なレースドキュメント、小林可夢偉の連載『夢に向かって』も収録。レースリザルトも掲載し、レース資料としても役立ちます。

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