ドイツGPから突然、レッドブルとフェラーリのフロントウイングが問題になりました。走行中にたわんで翼端板付近が下がり、路面との距離が近付いているのではないか、と。つまり、フレキシブルウイングだというわけです。
路面との距離が近ければ近いほど、空気の流速が速くなって負圧が生じ、ダウンフォースが増えます。しかも、ウイングを立ててダウンフォースを稼ぐのとはちがい、ほとんどドラッグ(空気抵抗)が生じませんから、ストレートでもほとんど影響がない、つまり“かなりオイシイ”というわけです。
反対派の急先鋒マクラーレンのマーティン・ウィトマーシュは「翼端板の高さが25mmや30mmも変われば、ラップあたり1秒は変わってくる。フロントが増せばリアも安定するんだ」とその効果の大きさを明かしています。
ホッケンハイムではこの2チームのウイングがFIA技術委員によって検査され、「合法」と判断されました。つまり、ウイングに荷重をかけてもレギュレーションの規定以上には変形しなかったのです(。でも、写真で見ると走行中にはたわんでいて、路面に接してすらいる、という不思議な状況です。
では、それがどんな仕組みになっているのかというと、それは分かりません(笑)。マクラーレンもメルセデスGPも、他チームは合法性を保ちながらもフレキシブルにするその機構を解明しようと躍起になっていますが、まだ解決策は見付けられていないようです。
「車高や重量などいくつかの方法が考えられるが、事実を述べれば、我々はまだ正確に把握できていない」(ウィトマーシュ)
従来から、前後ウイングを引っ張ったりおもり置いたりしてウイング強度を確認する検査は常に行なわれていました。フロント翼端板の場合、50kgのおもりで変形が10mm以内なら合格。
ただ、おもりを置く位置や引っ張るフックを取り付ける位置が細かく決まっているため、そのあたりの抜け穴を利用しているのではないかと考えられますが、マクラーレンがそうであるように真相はまだ闇の中です。高まる批判の声を受けて、FIAは次のベルギーGPから検査課中を2倍に高めることを決めています。
(text by Mineoki Yoneya / photographs by La Vie Creative)
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この記事の詳細はこちら商品の詳細著者:La Vie Creative
レース:2010年第12戦ハンガリーGP
ページ数:33
ファイルサイズ:18.2MB
商品番号:ITEM2010-0149
価格:210円(税込)
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