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2010年第13戦ベルギーGP、『王座争い揺さぶる、スパウェザーの悪戯』


2010-9-16 12:40


 10分ごとに刻々と移り変わる空模様。スパ・フランコルシャンを支配するその天候を、人々は“スパウェザー”と呼ぶ。この場所で勝ちたいのならば、その天候を味方に付けることが最低条件となる。

 ドイツ国境にほど近いベルギー南東部、アルデンヌの森の奥深くにスパ・フランコルシャンはある。山間の地形そのままのサーキットは、全長7km、高低差100m以上という、他に類を見ないダイナミックなレイアウトを有している。

 それはチャレンジングなコーナーが連続するということだけでなく、移ろいやすい山の天候の下にあるということも意味する。分厚い雲が空を覆い、強い風が雲を猛スピードで動かしていく。ある場所では雨が降り、またある場所では陽が射すことすらある。

 そんなスパウェザーが、このサーキットに数々のドラマを生んできた。

 今年のスパも、やはり雨の1日で始まり、雨の1日に終わった。


 1日前の天気予報はもはや頼りにならない。リアルタイムの降雨レーダーだけを頼りに、5分後10分後の天気だけに照準を合わせて対応策を練っていく。
 それでも不測の事態は起きる。突如降り出した雨に足下を掬われクラッシュしたり、タイヤ選択をミスしたり。そうやって優勝候補たちが次々と自滅していった。

 そんなスパウェザーに翻弄される人々の姿を尻目に、ルイス・ハミルトンは完全無欠のレースを成し遂げて見せた。予選こそ首位の座を譲ったものの、決勝のスタートですかさず前に出て、それ以降は一度たりともそのポジションを明け渡すことなくチェッカーまで走り切った。

 それだけ彼の速さは凄まじかった。抜群の完成度を誇るFダクトを最大限に生かし、長い直線でトップスピードを稼ぐ。スパウェザーさえも蹴散らすようなその速さで、ハミルトンは後続を引き離し、一遍のミスも犯すことなく勝利を掴み取った。

 ライバルたちが次々とスパウェザーに飲み込まれていく中で、彼の速さだけは際立っていた。


 チャンピオン争いの主役の一人と目されるセバスチャン・フェッテルは、2位争いの最中に大失態を演じた。スリップから抜け出そうとした瞬間に濡れ始めた路面に足を取られ、ジェンソン・バトンのマシンに突っ込んで早々に優勝戦線から離脱。ドライブスルーペナルティや他車との接触によるパンクなどで入賞圏外に落ち、バトンともどもノーポイントに終わった。

 取りこぼしの続いたここ数戦の中で、その悪い流れを断ち切らねばならない事は彼自身が一番良く知っていた。だからこそ、ペースの遅いバトンに抑えられたことで焦りが募った。
続く

(text by Mineoki Yoneya / photographs by ZEROBORDER)

 

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『F1SCENE DIGITAL』vol.13(2010 Rd.13 ベルギー)

 ●予選・決勝ともに荒れたスパウェザーのドラマ

 ●ハミルトン、Fダクト効果で完全勝利

 ●フェッテルとバトン、衝撃のクラッシュ劇!

 ●Q1敗退にも関わらず、またしても連続入賞の可夢偉

 ●レースドキュメント『王座争い揺さぶる、スパウェザーの悪戯』

 ●小林可夢偉・連載『試練の雨と、さらなる一歩』


商品の詳細
 ●著者(発行元):Remixpoint Inc. / Codeximages
 ●レース:2010年第13戦ベルギーGP
 ●ページ数:42
 ●ファイルサイズ:10.3MB

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 『F1SCENE DIGITAL』は、F1ドキュメンタリー写真集『F1SCENE』が贈る、レースごとの写真集です。vol.13は、世界有数のスパで行なわれるベルギーGP。スパウェザーに翻弄され戦列を去っていくドライバーたちと、彼らを尻目に完璧な勝利を挙げたハミルトンの走りを描きます。叙情詩的なレースドキュメント、小林可夢偉の連載『夢に向かって』も収録。レースリザルトも掲載し、レース資料としても役立ちます。

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