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2010年第15戦シンガポールGP、『光と深紅の舞台は、幻想か現実か。』


2010-9-27 19:50


 煌びやかな高級ホテルが建ち並ぶシンガポールのマリーナベイの夜景に、ひときわ明るい光のラインが浮かび上がる。何万キロワットもの人工照明の光を浴びた市街地の公道が、ビルの合間を縫うように走る。

 空高くそびえる高層ビルと、巨大な観覧車。近未来的な曲面を描く建築物に、街を貫く高速道路。そのどれもがこの街を華やかなものにし、光の道を駆け抜けるF1マシンたちの姿を幻想的なものにしている。ヘリからの空撮映像に映し出されるそれは、まさに非日常の光景だ。

 この市街地を誰よりも速く駆け抜けたのは、フェルナンド・アロンソだった。1カ月前まで誰1人としてタイトル候補と見ることのなかった跳ね馬が、モンツァに続いてここシンガポールでも俊足を誇った。

 ただ真っ直ぐに速度を稼げば良いモンツァはともかく、この曲がりくねったマリーナベイを跳ね馬が赤く染めようとは、当の彼らでさえ想像の域を超えていた。弛まぬ開発努力が、F10にあらゆる地面をも蹴り上げる力強さを与えた??それが彼らの出した答えだった。

 残り5戦をすべて表彰台で埋めた者が、チャンピオンシップの頂点に最も近い場所へとたどり着く。

 このシンガポールGPを前に、アロンソはそう語った。この地で勝利を手にすることは、彼ら自身が予想していたことではなかった。

 だが最大のライバルたるレッドブルの2人が予選の最後のアタックでミスを犯した時、夜景の中にひとつの幻想が浮かび上がった。ミスを犯すことなく自らの力を最大限に引き出すことに成功したアロンソと跳ね馬に、ポールポジションという配役が与えられたのだ。

 純粋なスピードという意味では、レッドブルの方に分があった。仮に彼らがフェラーリよりも前のグリッドからスタートし、彼らの眼前に自由な走りのできる空間が広がっていたなら、おそらく彼らは跳ね馬を置き去りにして退屈なレースを演じていたことだろう。

 だが、我々の目の前に展開されたのは、全く異なるストーリーだった。
続く

(text by Mineoki Yoneya / photographs by ZEROBORDER)

 

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『F1SCENE DIGITAL』vol.15(2010 Rd.15 シンガポール)

 ●煌びやかなシンガポールのナイトレース

 ●2戦連続ポールトゥウインのアロンソとフェラーリ

 ●予選10位の健闘むなしく、クラッシュした小林可夢偉

 ●レースドキュメント『光と深紅の舞台は、幻想か現実か。』

 ●小林可夢偉・連載『ナイトレースに光明を見た』

商品の詳細
 ●著者(発行元):Remixpoint Inc. / Codeximages
 ●レース:2010年第15戦シンガポールGP
 ●ページ数:42
 ●ファイルサイズ:11.0MB

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『F1SCENE DIGITAL』は、F1ドキュメンタリー写真集『F1SCENE』が贈る、レースごとの写真集です。vol.15は、マリーナベイの市街地を駆け抜けるシンガポールGP。目映い夜景をバックにナイトレースを制したアロンソの快走を描きます。 叙情詩的なレースドキュメント、小林可夢偉の連載『夢に向かって』も収録。レースリザルトも掲載し、レース資料としても役立ちます。

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