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2010年第17戦韓国GP、『波乱ずくめの韓国が、命運を決す。』


2010-10-25 20:31

 F1未開の地、韓国で初めて開催されたグランプリは、全てが異例ずくめだった。

 サーキット建設が遅れ、最終舗装が完了したのはレースの僅か1週間前。周辺施設の不備、ホテル、サーキットへのアクセスなど、関係者からは開催を不安視する声が高まった。

 ところが実際にヨンアムを訪れてみると、まさに最新F1スタンダードに沿ったサーキットが完成していた。確かに仮設スタンドの設置は遅れ、コースサイドでは工事車両による作業の真っ最中だったが、彼らの不安は杞憂に終わった。

 だが最も懸念されたのはアスファルト。仕上がったばかりの舗装面からにじみ出るオイルがグリップレベルを極端に低下させるのではないか、F1タイヤのハイグリップに舗装層自体のズレやはがれが発生するのではないかとの不安が聞かれた。そればかりは、実際に走り始めてみなければ誰にも分からない。


 金曜午前、韓国インターナショナル・サーキットでの記念すべきF1初走行は、ゆっくりとしたペースで始まった。コースレイアウトとグリップレベルを確かめるように、各ドライバーが走行を重ねていく。ラップタイムは次第に上がり、グリップは低いながらも通常のレーシング走行が可能なレベルにまで向上した。縁石やバンプなどの小さな問題も明らかになったが、応急処置を施すことで充分に対策が可能なものでしかなかった。

 土曜日の予選もつつがなく行なわれ、やはりレッドブルの2台がここでも速さを見せた。鈴鹿とは違い僅差ではあったが、バラエティに富んだコーナーが連続するセクター2、3では、ライバルたちが彼らを上回ることは難しそうだった。

 だが陽が落ちた日曜のポディウムで大きなジャンプを見せたのは、フェルナンド・アロンソだった。彼自身も予想だにしていなかったこの週末の勝利に、何度も何度も両腕を突き上げ、声にならない歓喜の雄叫びを挙げた。

 純粋な速さでいえば、真の勝者はセバスチャン・フェッテルになるはずだった。しかし彼はエンジンを失い、力尽きた。コクピットの背後から異音が轟いていることは分かっていたが、最後までスロットルペダルを踏み続けた。ブローしたエンジンの回転部品がカーボンファイバーのフロアを突き破り、激しく飛び散った火花が彼の悔しさを物語っていた。
続く

(text by Mineoki Yoneya / photographs by ZEROBORDER)



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『F1SCENE DIGITAL』vol.17(2010 Rd.17 韓国)

 ●建設が遅れたサーキット、観客スタンドが間に合わず!

 ●雨で赤旗中断、スピン、クラッシュ続出の大荒れレース

 ●本命レッドブル自滅で、アロンソがまさかの逆転優勝!

 ●レースドキュメント『波乱ずくめの韓国が、命運を決す。』

 ●小林可夢偉・連載『未開の地に刻んだ、さらなる一歩』


商品の詳細
 ●著者(発行元):Remixpoint Inc. / Codeximages
 ●レース:2010年第17戦韓国GP
 ●ページ数:50
 ●ファイルサイズ:27.3MB

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『F1SCENE DIGITAL』は、F1ドキュメンタリー写真集『F1SCENE』が贈る、レースごとの写真集です。vol.17は、開催危機が囁かれる中で行なわれた初めての韓国GP。建設が遅れた未知数のサーキット、雨で大荒れとなった波乱の決勝を描きます。叙情詩的なレースドキュメント、小林可夢偉の連載『夢に向かって』も収録。レースリザルトも掲載し、レース資料としても役立ちます。

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