むかぁ〜し、むかし、あるところにF1が大好きでF1をあきないの道具にし、大金持ちになった男がおったそうじゃ。
男は小男のくせにしぶとく、いつまでも長生きじゃった。F1の世の中のカネというカネを集め、自分のフトコロに入れておったのじゃから、当然と言えば当然のことじゃった。
男は「カネの亡者」と言われて悪者扱いされておったが、村人たちにとっては村を愛する良いお代官様じゃった。だから村人から慕われておった。
男の勢いは、還暦を過ぎても古希を過ぎても、そして喜寿を過ぎても衰えなんだ。齢80を前にして、新しい妾を手に入れるほど絶倫じゃった。
そして男が80歳の誕生日を迎えた時、村いちばんの庄屋から捧げ物が贈られたのじゃ。
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それは村人たちがさせられている重労働を彷彿とさせる道具の切れっ端で作られた、手押し車じゃった。囚人番号はもちろん「80」じゃった。
そしてその目の前には、男への皮肉たっぷりの操作板が備え付けられておったのじゃ。
じゃが男はその「妾」「バイアグラ」「キャッシュリミッター」「弁護士」をフルに使ってさらに材を蓄え、以前にも増してその名声を揺るぎないものにしたのじゃった。
めでたし、めでたし。
ー完ー
(text by Mineoki Yoneya / photographs by WRI2)