決勝2時間前にパドックでセバスチャン・フェッテルが結構深刻な様子で、時に激しい口調で口論していた相手、ピレリのマリオ・イゾラ(写真・左)と決勝直後に話しました。現場のエンジニアリングを統括するレーシングマネージャーで、各チームの担当エンジニアが報告を上げるのが彼です。
ーー今回はずいぶんブリスターが問題になったけど?「常識の範囲なら、そんなに問題視するほどの者ではないよ。ここは高速走行時間が長いため、ブリスターが発生してしまうんだ。それは路面温度とは関係なく発生する。今回ブリスターが発生したのはソフトタイヤだけで、ミディアムの方は全く問題なかった。しかしキャンバー角のセッティングがブリスターの原因になっていたんだ。長いストレートや高速コーナーで特定の箇所だけを使い続け、負荷をかけ続けることになるからね。今回のブリスターは構造上の強度に問題が出るようなものではなく、単純に寿命が短くなるだけのものだったから、安全上の問題はなかったけどね。ただしあまりに極端なセッティングだとコンパウンドが壊れてしまうことだってある。そんなことが起きないように、我々は各チームの様子をしっかりとチェックしておかなければならない。コース上だけでなくピットの裏側でも、チームと我々の戦いが繰り広げられているんだよ(苦笑)」
ーー決勝前にセバスチャンとすごい口論をしていたのは?「今回はドライでの走行がほとんどないまま決勝を迎えてしまったから、セバスチャンはタイヤの使い方について話したかったんだ。そういったことはエンジニアに任せておけば良いというドライバーも多いが、彼は自分自身でタイヤエンジニアと話をしてしっかりと把握しておきたがるんだ」
ーー彼はタイヤに不満を持っていた?「これはオフレコだけど、レッドブルはキャンバー角のセッティングを我々の推奨値を超えるかなりエクストリームな攻めたセットアップにしていたんだ。タイヤにダメージを負う危険性も充分に考えられた。だから我々も予選後に彼らに変更するように勧めたし、セバスチャンとも話をしたんだ」
ーーブリヂストン時代はマクラーレンがよく同じようなことをやっていたけど?「今回は大丈夫だった(笑)。ルイスもジェンソンも、2台とも推奨値を守ってセットアップしていたよ。正直言って、フェラーリはもう少し良いと思っていた。確かにデグラデーションは他に比べて小さいよ。しかしその代償として、ウォームアップが遅い。それは仕方のないことなんだけど、結果的に(各スティントの)最初の数周でライバルに大きく差を付けられてしまうんだ。それに今回は彼らはミディアムタイヤの使い方にかなり苦労していた。それが敗因になったね。逆にジェンソンは非常に上手いタイヤの使い方をしたと思うよ」
ーー同じソフトとミディアムが投入される次のイタリアGPでも、同じ問題が起きる?「正直言って、同じようなセットアップで走ればモンツァでも同じような問題が起きる。あちらの方が高速走行時間が長いから、もっとひどくなるだろうね。高速サーキットだけに万一の時の危険性も高いし、各チームは今回のデータを踏まえてさらに慎重にセットアップしなければならないだろう。まぁ、ドライでフリー走行が走れれば、決勝までに最適値が見いだせると思うけどね」
(text by Mineoki Yoneya / photo by Wri2)
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