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【1】いまどこ 〜世界各地からのご挨拶〜(2011年10月第5週)


2011-11-2 6:00

 今週はデリーに来ました。個人的にも初めてのインド入国です。

 事前に色んな話を聞いていたので、少しドキドキしながらの訪問でしたが、来てみればなんのことはなく、快適に過ごすことができています。それはおそらく、それなりの金額を支払って、それなりの階級の世界で暮らしているからなのでしょうが……。5つ星ホテルは非常に快適ですし、スタッフも海外の同級ホテルと同様に非常に気配りの行き届いたサービスをしてくれます。

 でも一歩街へ出れば、我々にとっては不思議な光景が広がっています。

 道路は車線の概念などないようにクルマが縦横無尽に走り、人もところ構わず横断してきます。舗道は舗装されておらず、工事中のままになった敷地も多数。犬も牛もそのへんにたくさんいます。もちろん、クルマはクラクションを鳴らしっぱなしです。

 街中にもスラムみたいなところはたくさんあるし、リクシャーというオート三輪のタクシーに乗っているとストリートチルドレンが寄ってきて腕を掴んだり、スラムドッグ$ミリオネアそのものという光景もたくさん目にします。

 でも、この国ではそういった全てがある種の秩序の中で保たれています。我々の常識からすれば極めて奇異な世界ですが、この国では確立されたルールの中でこれが成り立っているのです。道にはあちこちにゴミが散らばっていたりしますが、それを漁って生活している人たちがいるのだから、そのゴミを片付けてはいけないんだ、と彼らは真面目な顔で言います。上流階級がいるように、底辺の人たちもいる。階級社会の中で、使われる側の人間はそれを当たり前として受け入れ、そのワクの中で真摯に仕事をこなして生活の糧を得ています。いかにして楽をするか、さぼるかを考える旧共産主義国のメンタリティとは明らかに異なる、インド独自の精神文化があります。

 グランプリ開催に向けて様々な不安が囁かれていましたが、インドGPは初年度としては大成功だったと思います。コースを犬が走ったり、メディアセンターの電源が落ちたりするのは、この国の様子を見ればごく当たり前のことです。しかしイベントの運営としては、大きな混乱もなく、むしろ大勢の観客が集まりF1をお祭りとして楽しんでいるように映りました。それはおそらく、最近になってF1開催国に加わった諸国とは異なる、自分たちに与えられた環境を受け入れ、その中で指示された仕事をきちんとこなすことで生きていくという彼らの文化があったからでしょう。

(text and photo by Mineoki Yoneya)

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1年中F1を追いかけて世界中を転々としているよねやんが、世界各地の滞在地から近況とその街の様子をお届けします。様々な文化や海外生活の知識、世界中を旅するダイナミズムをお楽しみください。この知識が、あなたの暮らしやお仕事にも役立つかもしれません。
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