ドライバーたちはすでにヨーロッパを発ち、開幕戦に向けて移動を開始している。
彼らが生活の拠点を置くヨーロッパから見れば、オーストラリアは地球の裏側。我々日本人にとってのブラジルと同じ位置関係となる。飛行機で行くにもおよそ24時間の飛行が必要になり、最短でもカンタス航空の直行便でもシンガポールでストップオーバーして給油が必要になる。
ドライバーにとって最大の敵は時差だ。ヨーロッパとメルボルン(サマータイム中)の間には11時間の時差がある。この大きな時差で体調を崩さないよう、早めに現地入りして時差に身体を慣らす。
また、気温差も大きい。南半球のオーストラリアは夏。日本よりも格段に寒い冬のヨーロッパと比べると、その気温差に身体を合わせるのも大変だ。
こうした体調管理のため、オーストラリアではなく東南アジアでしばらく過ごしてリラックスしながら身体を慣らすというドライバーもいる。オーストラリアに比べて時差が4〜5時間小さく、気候も暑いが湿潤で彼らにとっては過ごしやすいと感じられるからだ。
もしオーストラリアや東南アジアの高級リゾートに行くことがあれば、彼らに出くわすかもしれない。1週間も前にすでに開幕戦に向けて出発しているドライバーたちだが、オーストラリアというのは彼らにとってそのくらい遠い場所であり、特殊な環境でのシーズン開幕に望むというわけだ。こうした精神的・身体的環境に目を向けて見ると、オーストラリアGPもまた違った見方ができるかもしれない。
(text by Mineoki YONEYA / photo by Wri2)