メルセデスAMGが搭載していると噂されるサスペンション周りの特殊デバイスだが、マレーシアGPではさらにマクラーレンやロータスが積極的に活用していると噂され、FIAが規制に乗り出すとの情報が流れた。
しかし、少なくともマレーシアGPでこれが問題視されることはないだろうというのが各チームの技術スタッフの理解だった。
ザウバーのチーフデザイナー、マット・モリスは次のように教えてくれた。
「FIAはシーズン前に全チームのサスペンション構造をチェックしており、その上で全て問題なしと判定している。だから、少なくとも今週末にここで何かが起きるなんてことはないだろう」
今週、各チームの技術代表者が集まって話し合うTWG(テクニカルワーキンググループ)が行なわれ、その場で中国GP以降に向けた話し合いが行なわれるという。
「今週、ロンドンでTWGが開かれるんだ。今回の(サスペンションの)件については、そこで話し合われることになるだろうね」
問題視されているサスペンション構造とは、前後4輪をハイドローリック等でつなぎ、ブレーキング時のダイブ(フロントが沈み込むこと)や加速時のリフト(リアが沈み込むこと)、コーナリング時のローリング(左右の傾き)を最小限に抑え、マシンの姿勢を可能な限り固定してダウンフォース特性を安定させるというもの。
コンピュータやアクチュエーターで油圧で操作するのはアクティブサスペンションにあたるため禁止だが、昨年のダブルDRSのように受動的に動作するものなら合同だという。
モリスは、程度の差こそあれ、少なくないチームがこうしたシステムを使用しているのではないかと語った。
「各アップライトをパッシブにつなぐことは合法だよ。このシステムは外から見て分かるようなものではない。少なからずどのチームもこれに似た仕組みは持っているんじゃないかな。我々もすでにやっているかもね(笑)」
F1界はレッドブルのチームオーダー騒動に揺れているが、中国GPではこのサスペンション問題によってまた新たな騒動が生じるかもしれない。今のF1で好走を見せているメルセデスAMGやロータスがその渦中にいるだけに、勢力図を左右することもあるかもしれない。
(text by Mineoki YONEYA / photo by Wri2)