ページの先頭です。本文を読み飛ばして、このサイトのメニューなどを読む

 
ドライビング短期集中連載(1)

スロットルペダルは50%から踏み込むべし!

2013-3-29 19:11


 まず、スロットルペダルの操作は、繊細さが命だ。F1公式ウェブサイト( www.formula1.com )などで公開されているデータグラフィック付きのオンボード映像を見れば分かる通り、ドライバーたちは時速300kmで4Gに耐えながら極めて繊細なスロットルペダルコントロールをしている(標準ECUのトラブルのせいか、2013年開幕戦の映像にはグラフィックはなし)。

 どんな操作かというと、踏む、離すというオンオフの操作ではなく、コーナーの立ち上がりではジワジワッと踏み込んでいく。そうしないと、800馬力を超えるトルクフルなF1エンジンでは簡単にリアがホイールスピンしてしまうからだ。



 ちなみに、スロットルペダルを踏んだ量に対して、実際のエンジン側スロットル(燃焼室への空気の取り入れ口)がどれだけ開くかは、スロットルマップによって決められている。ペダル50%でスロットルも50%といった同率の場合もあるが、実際にはペダルを50%踏んでもスロットルは20%しか開かず、ペダル60%で35%、ペダル70%で50%といったような、ペダルを踏みすぎてもホイールスピンしないようなスロットルマップが使用されることも少なくない。これはステアリング上のボタンで走行中にも変更が可能だ。



 オンボード映像を見ると、踏み初めはまず50%くらい一気に踏んで、そこからじわっと踏み込んでいっているのが分かる。こうすることで、加速時のホイールスピンを最小限に抑えつつ、加速力も最大限に得ているというわけだ。ジェンソン・バトンのようにドライビングが繊細といわれるドライバーはこれが一貫していて、逆に粗いといわれるドライバーは直感的に操作しているのも分かるだろう。

 こうしたスロットルペダル操作の難しさは、東京バーチャルサーキットでもそのまま反映される。このバトンスタイルとでもいうべきスロットル操作は有効だ。上のロガーデータのうち、一番下の赤ラインがスロットル開度だ。ここでは踏み始め50%ではなく、0%からジワジワッと開けていっているのが分かる。



 この国内の某プロドライバーの走行シーンをご覧頂きたい。注目すべきは、手前のテレメトリー画面の中央下で上下に伸びるバー。右がスロットルペダル、左がブレーキペダルの開度をリアルタイムで表わしている。コーナーでどんな風に操作しているのかが一目瞭然だ。

 GP2マシンのギアボックスは6速であるため、1速でコーナーから立ち上がることも少なくないが、排気量が4000ccでF1よりもトルクフルなエンジンであるがゆえに、1速からのコントロールは非常に難しい。少しでも踏み込みが速ければ簡単にリアが流れてスピンを喫してしまう。

 よくコーナーの立ち上がりでホイールスピンさせながらカウンターを当てて加速していく姿を見かけるが、はっきり言って、そんなのは至難の業である! レーシングドライバーのコントロールの繊細さと素早さがあるからできるのであって、一般人には到底無理だということは、シミュレーターに乗ってみればすぐに分かることだろう。だからこそ、ぜひ一度体験して頂きたいのだが……。

 逆に、ブレーキング時には一気に戻す。ブレーキペダルを踏むと同時に、1/1000秒でも速く戻さなくてはならない。

 また、コーナーの途中で僅かにスロットルを戻したり、パーシャル(中間的な)スロットルで抜けたり、ブレーキペダルと合わせて繊細な操作が要求されることもある。それらについては、(4)荷重移動の項目で説明することにしよう。

(text and photo by F1LIFE)


ページの終端です。ページの先頭に戻る