2014年にレッドブルリンク(旧A1リンク)での
オーストリアGPが復活すると言われているが、その可能性はどのくらいあるのだろうか。
レッドブルの
ディートリッヒ・マテシッツ会長は、バーニー・エクレストンとグランプリ開催について
合意に至ったという。これについてレッドブルが地元オーストリアのメディアに向けて簡単な声明を出したことは事実だ。
ただし、両者が合意に至ったからといってすぐさまオーストリアGP開催が決定するわけではない。むしろ、
ハードルは他のところにある。でなければ、レッドブルにとってグランプリ開催など資金的には何ら問題なく、とっくの昔に
“地元GP”を開催しているはずだ。
他の問題とは、
地元住民と
環境保護団体だ。
そもそも1980年代後半までF1を開催していた
エステライヒリンクは、1997年にA1リンクへと名称変更し、ヘルマン・ティルケ設計で大改修を施してF1開催を復活させた。しかし2003年を最後に終了し、レッドブルがこれを買収。さらなる大幅改修計画を立ち上げたが、環境保護単体の猛反発に遭ってこれを
中止した経緯があった。以来、A1リンクは荒れ放題で
廃墟のようになっていた。
レッドブルリンクは
標高680〜740mの美しい山地にあり、環境保全には非常に厳格な周辺住民に囲まれている。地元政府による
環環境保護のためのイベント規制法も存在し、観客数は4万人以下で、騒音レベルが一定の数値を超えないことなどが規定されている。
それでもレッドブルは
2010年にA1リンクに改修を施してレッドブルリンクと改称し、2011年からDTMやワールドシリーズ・バイ・ルノーなどのイベントを開催してきた。サーキットはF1開催に必要とされるFIAの
グレード1承認も得ており、レッドブルがF1開催を前提に改修を進めてきたことは明らかだ。
F1開催には環境保護団体の態度軟化と地元政府の法規制緩和が不可欠と言えるが、今回のレッドブルからの発表を受け
「こうした法規制を敷いている地元政府の反応はポジティブなものだった」と地元メディア関係者は語る。
観客数については、レッドブルが赤字を被れば4万人という範囲内でも充分に開催が可能だ。環境保全の観点も、2014年から導入される
新型パワートレーンが後押しになる可能性は充分にある。
現時点で内々に明らかになっている
2014年暫定カレンダーでは、6月29日のイギリスGPの後、7月20日ドイツGP・7月27日ハンガリーGPの連戦まで
2週間の空白がある。開催日としてはイギリスGP翌週の
7月6日にオーストリアGPというのが濃厚だ(今年と同様にドイツGPをイギリスGPと連戦にしてオーストリアGPをハンガリーGPと連戦にすることも考えられるが、可能性は低い)。
地元オーストリアの一大企業となったレッドブルの意向を受け、地元政府が共同歩調を取ったとすれば、
2014年オーストリアGP実現の可能性は充分にあると言えるだろう。
(text by Mineoki YONEYA / photo by Renault Sport)