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前代未聞、年間22戦&3週連戦!

2014年カレンダー、暫定通りの開催はあり得ない!?

2013-9-28 23:42




 9月27日、FIAが世界モータースポーツ評議会の承認事項を発表し、その中で2014年の暫定カレンダーが明らかになった。初開催2戦、復活開催2戦を含む計22戦という前代未聞のカレンダーだが、このまま実現するとは思えない。

 まず現時点で暫定の印が付いているのは韓国、ニュージャージー、メキシコの3戦。これらはサーキットの承認が条件とされている。

ニュージャージーでの開催はない?


 ニュージャージーは今季も暫定カレンダーに入っていたものの、直前になって主催者が準備不足を理由に開催断念を表明した。今季もその準備が進んでいるとは言えず、開催が難しいのではないかと見られている。今年6月のカナダGPには主催者代表のクリス・プーク氏が訪れていたが、具体的な説明はなし。

 そもそも、現在のカレンダーではモナコGP、アメリカGP、カナダGPが3週間連続の開催となっている。これは前代未聞で、FIA側FOM側もニュージャージーでの開催が難しいことを想定した上でこの週末に組み込んでいるのだ。なお、モナコGPとカナダGPはすでに来年のチケット販売をこの日程で開始しており、スケジュールが動くことはない。アメリカGPが開催されるとすれば、現実的なスケジュールはカナダGP翌週になるはずだが、そうなっていないことを見れば、再びキャンセルとなる可能性が高いようだ。

韓国GPも消滅へ?


 当初はヨンアムの都市開発と合わせて開催が計画された韓国GPだが、毎年主催者の実体が転々としており、もはやグランプリの開催目的は失われている。韓国でF1熱を高めようという企業もなければ、F1を使って韓国を世界に向けてアピールしようという政府の介入もない。

 開催契約は2016年まで結んでいるが、毎年大幅な赤字を垂れ流すだけとなっており、消滅は間近と言われている。ヒュンダイのWRC撤退などで見られた韓国のやり方からすれば、契約が残っていても開催権料を支払わず一方的に開催を終了することもあり得る。開催の可能性が薄くともこの時点で暫定カレンダーに入っているのは、後々の係争を考えてFIA・FOM側に非がないことを主張するためだ。

 ただし、昨年から地元地方自治体の参画が見られ始めており、その支援体制によっては開催維持もあり得るかもしれない。ヨーロッパから見れば毛嫌いされている中国・韓国の2週連戦は、どのF1関係者も望んでいないことは確かだが……。

ロシアGPはプーチン大統領次第?


 ロシアGPも開催が難しいのではないかと見られているグランプリのひとつだ。2014年2月に行なわれるソチ冬季オリンピックの会場を利用した半公道サーキットだが、その建設はあまり進んでいないようだ。主催者のJSCオメガとロシア自動車協会の関係も思わしくないと言われており、資金不足も囁かれている。

 プーチン大統領とロシア政府が本腰を入れれば開催に不可能はないだろうが、現状ではその本気度が見えてこない。ザウバーからデビューをもくろんでいるセルゲイ・シロトキンは、父親が宇宙開発の国家的権威だが、プーチン大統領とは不仲と言われるだけに、両方が並び立つことも難しいのではないかと見られる。

 当初、主催者は2014年10月19日の開催と表明していた。しかし暫定カレンダーでは10月5日となっている。日本GPの開催日程が体育の日を含めた連休にあたる10月12日に定まっており、終盤戦の過密スケジュールとの兼ね合いもあってその前に持ってこられたかたちだ。

 気まぐれなロシアだけに、大統領が本気でやろうとしてるのでなければ、本当に開催されるかどうかは直前まで分からないかもしれない。

テルメックス肝煎りのメキシコGP


 メキシコGPは言うまでもなくテルメックスの肝煎りで開催されることになったグランプリだ。レッドブルが地元自治体などに根回しして万全の体制でオーストリアGPを復活させるのに対して、メキシコGPは不透明な点も残っている。

 サーキットは1992年までメキシコGPが開催されていたエルマノス・ロドリゲス・サーキットを大改修してグレード1を取得し直すという。しかしテルメックスは昨年に続いて今年もスポンサー料の支払を滞らせるなど、F1界においても評判を下げている。ホンダと提携したマクラーレンからはタイトルスポンサー契約を懇願される立場でもなくなり、昨年に続いてセルジオ・ペレスのF1残留すら危うい状況だ。

 しかしテルメックスの総裁で大富豪のカルロス・スリム親子は息子ドミットがFIA議員となり、今年6月にもFIAが敢行する『AUTO』誌でメキシコGP開催に向けた意欲を語るなど、FIAとの距離を縮めている(彼がF1の現場に来場する際に下げているパスはFIA発行のものだ)。このあたりを見る限り、メキシコGP開催の可能性は高そうだ。

 年間22戦という開催数となれば、チームはスタッフの負担が大きすぎると訴え、エンジンやギアボックスの使用制限の観点からも厳しくなるとエンジンマニュファクチャラーは不満を述べている。

 暫定スケジュールの全てが開催されるとすると、2週間以上のインターバルが空くのは8月の夏休みだけで、あとは1週間のインターバルか連戦かというシーズンが続くことになる。さらに来季は4回のシーズン中テストを行なうことが想定されているだけに、今季の疲弊具合を見ればそれは考えにくく、おそらくは4月と6月にキャンセルされるグランプリが出てくるはずだ。あとはシンガポールと日本の間に3週間の空白ができれば儲けものといったところだろう。

(text by Mineoki YONEYA / photo by Wri2, Sauber)


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