ティモ・グロックがマルシアを離れてDTMに参戦というニュースが突然飛び込んできました。真相がどこまで明らかになるか分かりませんが、要はプロフェッショナルなドライバーとしての線引きをどこでするかということだったのではないかと思います。
彼にしろコバライネンにしろ、新規参戦チームの立ち上げに貢献してきて、その働きに対してチームも年間数億円というサラリーを払ってきたわけです。もちろん上位への飛躍という夢もあったでしょうが、それが現実的ではなくても充分な収入を得て走るのはプロのドライバーとしてあるべき姿です。
しかし2013年のF1ではそれが難しくなりました。現状から推し量るに、おそらく契約は残っていたものの、チームからはサラリーが支払えないという状況になったのでしょう。
そこでどうするか。サラリーはなくてもF1という世界にしがみつくか。それともサラリーがもらえる他の仕事を選ぶか。
F1ドライバーという肩書きは名誉なことです。しかし、上位争いができるならともかく、その可能性が限りなく低い状況で走って、なおかつ収入がないのでは仕方ありません。それよりも、仮にDTMのメーカーやチーム(BMWだそうですが)からサラリー付きのオファーがあったのなら、プロのドライバーとしてそちらを選ぶのも当然の決断です。
そもそも、プロのドライバーというのはチームからサラリーをもらってドライブするものです。元F1ドライバーとなれば、他の世界選手権クラスのチームからのオファーも寄せられます。F1にこだわるのか、それともプロのドライバーとしてあるべき姿に落ち着くのか。それは各個人の考え方次第でしょう。
いずれにしても、どんなドライバーでもそれを決断しなければならない時は訪れます。自らF1を去るというのなら、ティモはそれを決断したということでしょう。
(text by Mineoki YONEYA / photo by Wri2)