タイムの上位2名が揃って表情が暗いのは、新しいピレリタイヤのせいかもしれない。ドライバーたちは一様に「3〜4周もすればフロントにグレイニングが出てどうしようもない」「これじゃマシンのフィーリングも正確に判断できない」と語る。好印象を語ったグロージャンでさえ、同じように「正確な比較はできない」と
語っている。その点では誰もが同じ条件であり、表情の善し悪しはそれをどれだけ深刻に捉えるかの問題なのかもしれない。
ピレリは今回のヘレステストにソフト、ミディアム、ハードの3スペックを用意してチーム側の要求に応じて供給しているが、ほとんどのチームが走行寿命を考えてハードとミディアムのみの使用としている。それでもタイヤの実用耐久距離はさほど長くはない。
加えて、ヘレスのコース特性の問題もある。レイアウト的にはリアに厳しいサーキットだが、路面の粗さのためフロントタイヤにグレイニングが出る。初日で路面がグリーンであったことも悪影響した。ピレリのマリオ・イゾラは語る。
「ここは7年目の路面で、表面の石材が出ているから粗い。この粗さは他のグランプリサーキットと比べても全くのレンジ外にあるんだ。だからフロントタイヤにグレイニングが発生するし、一度発生してしまえば簡単には元に戻らない。初日で路面がまだグリーンだったことも理由のひとつだ」
「朝は路面温度も低いし、テストをしてもタイム的にはあまり意味がない。タイヤについて結論を下すのはバルセロナテストを待たなければならないだろう」
ヘレスでの残り3日間で路面状況とタイムはどのように推移するか。いずれにせよ。ヘレス合同テストの結果だけを見て今季を占うのはまだまだ難しそうだ。
(text by Mineoki YONEYA / photo by Wri2)