ピレリが開幕4戦のタイヤアロケーションを発表した。そのスペックは別表の通り。このタイミングでの発表は、ヘレス合同テストの結果を待って最終決定が下されたためだ。
一部情報筋によると、当初ピレリは開幕戦オーストラリアにはスーパーソフトとソフトの最も柔らかい2スペックの投入を計画していた。しかしヘレスでの実走テストの結果、予想以上の摩耗とグレイニング、そして熱だれが発生したため、一部ではこのアロケーションでは開幕戦は大変なことになるという懸念の声が出ていた。
昨年のメルボルンではソフトとミディアムが投入されている。それと比較すると、今年のミディアムは昨年のソフト程度の柔らかさであり、半公道サーキットのアルバートパークに今季は1ステップ柔らかいスペックを投入することになる。
だが問題は、コンパウンドの柔らかさより作動温度領域だ。ミディアムとスーパーソフトというチョイスは、作動温度領域の低い2スペックの選択。つまり、当初計画していた、作動温度領域の大きく異なる2スペックによる荒れたレースという狙いを回避し、まずはコンサバティブなチョイスにしてきたのだ。
今季のタイヤは摩耗ではなく熱だれによるデグラがレースを面白くするとの設計思想だが、ヘレスでは2周目に早くもタイムが1秒単位で落ちるという状況だった。これが極めて粗いヘレスの路面によるものか、路面温度25度という寒いコンディションのためかは判断が難しい。
ピレリはバルセロナでのテストを待って結論を出したいとの意向だが、ピレリは早くも若干の計画変更を施してきたことになる。しかし仮にメルボルンが快晴で酷暑のレースとなれば、ワーキングレンジの低い2スペックによるレースは、ピットストップ多発の荒れたものとなる可能性もある。すでにアロケーションが発表された4戦目までについてもまだ予断を許さない状況といって良いだろう。
【2013年タイヤアロケーション】Rd.1 オーストラリア(SS, M)
Rd.2 マレーシア(M, H)
Rd.3 中国(S, M)
Rd.4 バーレーン(S, H)
(text by Mineoki YONEYA / photo by Wri2)