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【新車解説】ウイリアムズFW35

正常進化型ながら別次元のマシンへ

2013-2-20 20:51

マシンの80%を刷新
別マシンのようなフィーリングに進化


 ウイリアムズはバルセロナ合同テスト初日の2月19日、全11チーム中で最後となる新車FW35を発表した。

 テクニカルディレクターのマイク・コフランによるデザインで、前年型FW34を正常進化させたものだが、12カ月以上をかけてR&Dが進められてきたもので、マシンパーツの80%は刷新されているという。ノーズ、ギアボックス、リアサスペンション、ラジエター、フロア、ボディワーク、そして排気管が新設計となっている。どうやらモノコックは前年型を流用しているようだが、それ以外のマシンの大部分は生まれ変わっている。

 コフランによれば、FW35開発のテーマは空力性能の向上と重量低減にあり、両テーマともに充分な目標達成を果たしているという。

 ノーズは発表会時点ではフェラーリ風の極めてハイノーズのコスメティックパネルが装着されていた。しかし実走ではヘレスでもFW34に装着して走行していた通常型ノーズも使用している。データ収集を行ない、その比較を行なっているという。

 フロントウイングはすでに新型が装着されており、メインプレーンをシンプル化すると同時にフラップの両端にスリットを入れてメルセデスAMGのように疑似5エレメント化。これにともない翼端板後方の開口部も変化させ、アッパーフラップも3エレメントと複雑な構成にしている。なお、ローノーズ使用の際には旧型のフロントウイングを使用している。

 モノコック流用と言われるだけにマシン中央部に大きな変更点はない。しかしリアエンドは大きく生まれ変わっている。まずコアンダ排気管を進化させ、空力効果を向上させている。コアンダ排気管は通常型よりもパワーのロスやダウンフォースバランスの変化などデメリットも存在するため、昨年のウイリアムズはこれを最後まで上手く使いこなせないでいたが、今季はルノーが持つデータを最大限に生かしてマッピングを工夫するなどしてこれをものにしてきた。

 また、フェアリングの途中に張り出しが存在して実質的に開口部を2つに分ける処理を施しているが、これに対してケータハム同様に違法ではないかとの指摘がなされた。コフランは中央にスリットが入っていることで排気管フェアリングの開口部が1エレメントになっており、違法ではないと反論したが、FIAからは問い合わせが寄せられたといい、まだ予断を許さない。

 独自の超小型ギアボックスはデザインを刷新したが、そのコンセプトを踏襲している。すでにダイナモ上で3200kmを走破しており、信頼性の確認も充分だという。

 そこにマウントされるリアサスペンションも設計を刷新。ロワアームのマウント位置が変化し、プルロッドの通し方もウィッシュボーンの内側へと再配置されている。

 リアウイング自体は昨年型を踏襲しているが、ウイングレットはフラップ部分を別体化するなど凝った作りとなっている。しかしディフューザーはシンプルな形状だ。

 初日にドライブを担当したパストール・マルドナドによれば、マシンのフィーリングは昨年型とは全く異なっており、完全に異なるマシンのようだという。しかしドライブしやすく、初日であるだけにプッシュはしていないがかなり良い手応えを掴んだようだ。ウイリアムズは開幕戦に空力アップデートを投入する予定で、その後もほぼ毎戦アップデートを投入していくという。予想外の速さを見せた昨年同様、今季のウイリアムズはさらに進歩を見せるかもしれない。

(text by Mineoki YONEYA / photo by Williams, Wri2)

【配信予告】『F1LIFE』では、2013年型ニューマシンのさらに詳細な解説とディテール写真満載のテクニカルファイルをバルセロナ合同テストの現場からお届けする予定です。ご期待ください。

 








 
FW35 SPECIFICATIONS
Chassis construction
Monocoque construction laminated from carbon epoxy and honeycomb surpassing FIA impact and strength requirements
Front suspension
Double wishbone, push-rod activated springs and anti-roll bar
Rear suspension
Double wishbone, pull-rod activated springs and anti-roll bar
Transmission
Williams F1 seven speed seamless sequential semi-automatic shift plus reverse gear, gear selection electro-hydraulically actuated
Clutch
Carbon multi-plate
Dampers
Williams F1
Wheels
RAYS forged magnesium
Tyres
Pirelli, Fronts: 245/660-13, Rears: 325/660-13
Brake system
AP 6 piston calipers all round, carbon discs and pads
Steering
Williams F1 power assisted rack and pinion
Fuel system
ATL Kevlar-reinforced rubber bladder
Electronic systems
FIA SECU standard electronic control unit
Cooling system
Aluminium Oil, Water, KERS, and gearbox radiators
Cockpit
Six point driver safety harness with 75mm shoulder straps & HANS system, removable anatomically formed carbon fibre seat
Engine
Renault RS27-2013 2.4L V8, 900 V angle, 32 valves, aluminium block and pistons, nitrided alloy steel crankshaft with tungsten alloy counterweights, titanium connecting rods, 8 butterfly throttle system, 18000 rpm maximum speed
KERS
Williams F1 battery, MGU and electronics
Dimensions & weight
Weight: FIA Minimum
Overall length: 5000mm
Overall height: 950mm
Overall width: 1800mm

 





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