2月19日、バルセロナで2013年2回目の開幕前テストが始まった。初回のヘレスでは路面の粗さのせいで充分なタイヤテストができなかったため、マシンに大きなアップデートもまだない今回のテストでの主目的は2013年型タイヤのフィーリングを掴みセットアップ対策を固めることにある。グランプリサーキットであるバルセロナでなら、それが可能であるとの期待があった。
しかしいざテストが始まってみると、タイヤにはヘレスと同じようにグレイニングが発生し、激しいデグラデーションを見せた。1周目はきちんとタイムが出るものの、2周目からは1秒、2秒というレベルでタイムが落ちる。初日を終えて路面が向上することで少しは改善されたものの、依然としてグレイニングによるデグラデーションは大きい。
多くのチーム関係者が、これこそが今季型ピレリタイヤの素性だったのだと認識を改めた。ザウバーのタイヤ管理責任者であるピエール・ヴァッシェはこう語っている。
「問題は温度の低さによって起きているのではない、これが今季タイヤのナチュラルな素性だよ。クレイジーな特性だ。シーズンが始まれば少しはマシになるかもしれないが、4回ストップ、5回ストップは当たり前になるかもしれない。ショーとしては良いだろうけどね(苦笑)」
ヘレスでは路面の粗さという要素があったため「バルセロナに行かなければ本来の素性は分からない」と言われていたが、バルセロナで走ってみたことでこのグレイニングの出やすさこそが今季のピレリタイヤの素性なのだと白日の下に晒されたかたちだ。チームによっては、摩耗も問題になっているという。セルジオ・ペレスは「すごく弱いタイヤで、ドライビングの工夫でどうにかできることは少ない」、パストール・マルドナドは「センシティブでグレイニングしやすいタイヤだ」と語る。
フォースインディアの松崎淳エンジニアは、「マシンの側でどれだけ合わせ込めるか、その幅広さが問われることになる」と言う。開幕までのマシン開発とセットアップの煮詰めで、この摩耗とグレイニングによるデグラデーションをいかに抑えるかが勝負のカギになる。フォースインディアは「まだ解決の糸口は見えていません。今季型タイヤの難しさがハッキリと見えました。今年は大変そうです……」という。
各日のベストタイムはソフトかスーパーソフトを履いて1周計測のみでアタックをすれば簡単に出るため、誰がトップタイムであろうと比較することに意味はない。まだ各チーム間の勢力図は全く見えていない。現時点での問題は、タイヤの扱いだ。
バルセロナ合同テスト初日ベストタイムバルセロナ合同テスト2日目ベストタイム(text by Mineoki YONEYA / phoyo by Wri2)